About this page - 「点の記」について -

点の記(てんのき)とは、基準点(三角点・水準点・基準多角点など)の設置・測量の記録のこと。

地図測量の為に主に山頂に置かれた測量石を三角点と言う。国土地理院には陸地測量部時代を含めた明治大正昭和、凡そ100年にわたる「点の記」が資料として残っている。国内全域の平野は言うに及ばず、道なき山域に分け入った汗の記録である。

私にも「記憶の堆積層」がある。暮らしの狭間に明滅する記憶の肖像がある。記憶の三角点と言っていいだろう。かなしいことに、1997年以前の日記、ノート、写真も手元にない。とはいえ、記憶の印画紙に焼き付けた映像は色褪せることはない。今となっては時系列に記憶を再現することは不可能だ。覚えている事より忘れている事の方が圧倒的に多いのだ。Web時代となった今、検索を駆使すれば、あきらめていた昭和20年〜30年代の空気、色彩、匂いまでも再現することができるのではないか。朧げな記憶を掘り起こし私なりの「点の記」として綴ってみたいと思った。想い出の小石(ケルン)を一つ一つ積み重ね、少年の日に深く心象に刻んだ「記憶の三角点」を廻る旅に出ることにしよう。もとより過去を追憶し懐かしむ意図は毛頭ないことを付記しておく。


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