草紅葉の尾瀬、初のテント泊は氷雨 

テント テント泊で尾瀬に行ってきました。 当初予定の燧ケ岳登山は体調不良のために断念、尾瀬沼でのキャンプのみとなり ましたが、忘れられない思い出になりました。

【日 付】 1997年9月27日(土)〜28日(日)晴れ時々曇り、雨
【場 所】 尾瀬
【行 程】 (9/27) 大清水…一ノ瀬休憩所…三平峠…尾瀬沼キャンプ場
    12:30   13:45  15:15  16:30
(9/28) 尾瀬沼キャンプ場…三平峠…一ノ瀬休憩所…大清水
    8:00       9:20  11:30    12:30

9/26(金)
 18:30 自宅を出発
初のテント泊ということで、荷物の量がハンパでない。例によって車の中で寝るということで、 タオルケットと着替え、それにサーモスに熱いコーヒーを詰め込む。リキを入れるために 近所の焼肉屋でカルビを食して、19:30いざ出発。 夜の関越を直走る。この道を何度走ったことか。車の量は然程多くない。 最後のサービスエリアで休憩。谷川岳の山頂で食べた梨の味が忘れられず、 林檎を買う。果物があるだけで贅沢な気分になるんだよね。

 22:30 戸倉の駐車場に到着
サービスエリア運転を交代。沼田インターを降り、尾瀬へと走らせる。夜遅いというのに車が多い。 ガスが出ていて視界が30メートルくらいしかなくてコワイ。 止む無く、また相方に運転を代わってもらう。「これくらいで怖がっているようでは運転の資格なし」 罵倒される。両側には所々にコンビニの灯りが見える[やっぱり全国的な観光地だなぁ]。 橋の手前のセブンイレブンで明日の朝食と昼食を仕入れる。22:30戸倉の駐車場に到着。 入り口のゲートを(ファミリーレストランの駐車場ゲートのようだ)くぐるとまだ1/4位の入りだ。 しびしびと雨が降っている。奥の方に車を停め、後部座席を倒して寝床を設える。 23:00就寝。

 ◆  ◆  ◆

9/27(土)
 05:45 車の中で起床
なかなか寝付けない、と思ったが寝ていた[いつものとおり]。05:45起床。 外はまだ薄暗い。雨は上がった様子だ。車の中で着替え、サンドイッチを食す。 靴を履き、タクシー乗り場へと急ぐ。駐車場はいつのまにか一杯になっている。 大清水への乗り合いは無いということなので、二人だけでタクシーに乗り込む。 やはり日帰りで鳩待峠コースが一般的のようだ。10分から15分で大清水に到着。 土産物屋の店先で水筒に水を補給し、バーナーで湯を沸かしてサーモスにコーヒーを詰める。 いよいよ行くぞ燧ケ岳[とこの時は思っていた]。

 7:10 大清水を出発していよいよ、、
車道のゲート脇を通っていよいよ歩きはじめる。車も走れるような広い砂利道だ。 ザックの乾燥重量は、14キロと10キロ。それに水の重さが加わる。 腰で支えているとは言え、慣れない重みが肩に食い込む。重い。重い。重い。 足どりも重くなる。と、30分程歩いたところで相方がギブアップ。体調が悪いと言う。 小休止したが良くならないので、大清水への道をよたよたと戻る。尾瀬沼へ向かう 元気いっぱいの人々とすれ違う。 「もう下山ですか?」の問いかけに もごもごと返事をしつつ、再び土産物店の前。ぐったりとベンチに座る。 開いたばかりの店でタクシーを呼ぶ。 みんな鳩待峠へ出ていて、来るのに40分はかかるとのこと。行動食を食べつつ待つ。

 9:15-11:30 戸倉の駐車場にて仮眠
9:00やっと到着したタクシーで戸倉駐車場へ。相方は車の中で吐きそうな息遣いをするので、 運転手さんがびびっていた。運転手さんごめんなさい。駐車場に着き、車の中で仮眠する。 疲労と落胆でぐったりと横になる。あーあ、ここまで来て尾瀬を見ず終いか。 相方は天使の寝顔で鼾をかいている。

 11:30 再び挑戦!
相方が起き出して11:30「もう一度行くぞ」と言い出す。今日は尾瀬沼でキャンプ、 明日、燧ケ岳を目指すことに。
「山行に計画変更はつきものだ!」 と宣う。わたしを可哀相と思ったのか、男の意地か、なんでもいい [その気になっているうちに]と急いで支度を整える。と、見ると、げんきんなもので 睡眠で元気を回復したのか、わたしの分のおにぎりまで食べようとしているので、 慌てて取り上げる。[葉とうがらし]はわたしの好物なんだぞぉ。 今度は車で大清水まで移動。ザックのパッキングをし直す。軽量化のため、 水場を確認して余分な水筒とサーモスを置いてゆくことにする。 靴を履いて、さあ、仕切り直しだ。

 12:30 再び大清水を出発
朝方歩いた道を再び歩きはじめる。ザックは相変わらず重いが心は軽い。
はっぱ ゆっくりと休み休み行く。どんどん人に追い抜かれるが気にしない、気にしない。夕方までに尾瀬沼キャンプ場に着けばいいのだ。 やがて沢道に入る。白岩を流れ落ちる水。 降りかかった色とりどりの落ち葉。きれいだ。これを見ただけでも来てよかった。 ぬかるんだ山道を行くと一ノ瀬休憩所に到着13:45。コースタイムより遅れている。 やはり重いザックを背負っては2割増か。

 15:15 やっと、三平峠
一ノ瀬休憩所を出発14:00。再び山道をゆく。黙々と歩く。ザックが重い。疲れたー。 昼におにぎり1個しか食べていない。カロリーが不足しているのだ。 お腹が空いたー。15:15やっと三平峠に到着。行動食を食べる。食べる。水を飲む。 空模様が怪しくなってきた。小雨がぱらついてきて寒いので、ザックからパーカーを 取り出して着込む。木道をよたよたと下り、16:00三平下に到着。 広場のベンチでひと休み。水筒に水を汲む。キャンプ場まであとひと息だ。

 16:30 尾瀬沼キャンプ場に到着
尾瀬沼を左手に見ながら出発。草紅葉と燧ケ岳の景色に息を呑む。皆、もう小屋に 引っ込んだのか人影はまばらだ。突出しで写真を撮る。 16:30尾瀬沼キャンプ場を管理している長蔵小屋に到着。800円を払ってキャンプ札を受け取る。 小屋は満員御礼の様子。皆、暖かい小屋の中でぬくぬくとしている。うー。外に出ると雨が 本降りとなっていた。泣きっ面。 小止みになるのを待っていたが逆に激しくなってきたので、傘をさしてキャンプ場へと歩き出す。

 17:00 氷雨の中でテント設営
すでにいくつかのテントが張られている。水場からさほど離れていない場所を選び、 ザックを降ろしてテントを取り出す。べしゃべしゃに濡れた土の上にテントを広げ、 雨に降られながらフレームを通す。やっとの思いでテントを立ち上げ、フライをかけペグを打つ。 ザックとともに中に転がり込む。びしょ濡れ。地面から冷気が伝わってくる。 狭いテントの中で身体を捻りながらテントマットを敷き詰め、さらにエンソライト・マットを敷く。 やっと人心地ついたが、寒さが身に染みる。外は暗くなってきた。 小型のマグライトをテントの天井に取り付ける。

 18:00 雨の中、暗く冷たい炊事場での夕食、今でも語り草
1人から2人用との触れ込みで購入したテントは、2人の人間と70と45リッターの2つのザックでいっぱい。 雨のためザックを外に置くことができないし、狭い前室には靴二足しか置けない。 中での煮炊きは不可能と判断し、屋根のあった水場で炊事をすることにする。 外へ一歩踏み出すと靴が泥の中に沈み込む。 墨を流したような闇の中にテントがぼーっと浮かび上がっている。 水場でコッヘルで水を沸かす。ランタンの灯りは柔らくて素敵だ。アルファ米に湯を注ぎ、 その間にチキンラーメンを食べる[いつもこれですが、相方の好物なので]。 しゃがんだままでシェラカップからラーメンをすする。格好は惨めだけど楽しい。 [これはとても忘れられそうにない]
それにしても、食べてるのに寒いよー。 指先がかじかんで感覚がなくなってきた。待ちきれずに15分で固い米を食べる。 鰯の缶詰を食べる。これ以上外に居るのは無理と判断し、水を汲んでテントへ戻る。

 20:00 テントで就寝
テントの中のランタンの灯りは優しい。バーナーで湯を沸かす。 冷えていたテント内が次第に暖かくなってくる。テントの天井に沿わせて背中を丸め、 インスタントコーヒーを啜る。美味いよー。楽しい。来れて嬉しい。来てよかった。 この雨では、明日の燧ケ岳は諦めざるを得ない。それでも来てよかった。雨がテントに あたる音がすぐ近くで聞こえる。こんなに近くで雨音を聴くのは生まれて初めてだ。 シュラフにシュラフカバーをかけて潜り込む。狭い空間に身体が斜めに捻じ曲げる。 雨音を聴きながら就寝20:00。

 ◆  ◆  ◆

9/28(日)
 4:45 起床
寝付けそうにない、と思ったが寝ていた[あはは]。3:00寒さで目が覚める。 テントの防水が完全でなく、内側に水が染み出している。テントを張る時に入り口部分を 泥だらけにしてしまったため、ちょうど顔の上がフライシートのみになってしまったのだ。 雨滴で髪が濡れていた。頭の部分に傘を差し掛けて水滴を防ぐ。 とろとろとした眠りのまま朝を迎える。4:45寒さに堪え切れず起き出す。 バーナーを点けて暖をとり、コーヒーを飲み、行動食で腹ごしらえをする。 次回からは食料の種類をもっと考えなければならない。雨は止んだ様子だ。

 8:00 雨の中の撤収、キャンプ場を後に
テントを撤収6:30。泥だらけのテントを格納するのは大変だ。寒さで手がかじかむ。 小屋にキャンプ札を返却し、ビジターセンターでパッキングをし直す。 長蔵小屋経営の土産物店で暖かい缶コーヒーを飲み、大福を食べる。 ふと外を見ると、虹だ。 天気雨がぱらつく空に虹がかかっている。自然はすごい。ダンクロンのTシャツと軍手、 それにテレホンカードを土産に買い、尾瀬沼沿いの道を戻る8:00。 今日は人通りが多い。尾瀬の草紅葉を写真におさめながら、ゆっくりと歩く。

 8:40 再び、三平下
三平下、山菜蕎麦で朝食。温かい食べ物はご馳走だ。ゆっくりと休息をとり、再び出発。 木道を登るうちに、パーカーを着たままの暑さも手伝って、今度はわたしが気分が悪くなってきた。 蕎麦を急いで食べたからか。情けない。どうにかこうにか三平峠にたどり着き9:20、 パーカーを脱ぐ。風が気持ちいい。ずっと気分がよくなった。ここからは下りだ。 石清水の水場で休憩。林檎を食べる。美味しい。見上げれば抜けるように高い青空。 木々の緑と空の青さのコントラストが素晴らしい。清水で喉を潤して、 さてさて、あと少し。ザックの重さに肩が慣れてきたようだ。ゆっくりだが着実に歩く。

 11:30 一ノ瀬休憩所
ここまで戻ってきた。ぜんざいとホットコーヒーで暖をとる。一ノ瀬休憩所は これから尾瀬に行く人と戻って来た人で賑っている。ここまで来れば、あともうちょっとだ。
ぬかるんだ林道を歩き、往路で感動した沢で白岩と落ち葉の写真を接写する。 昨日から帰りに写真を撮ろうと思っていたのだ。光の具合はいいようだ。 うまく撮れているといいが。沢で薄いピンク色の小石を拾う。 相方曰く[瑪瑙の原石だ]ほんまかいな。 降ったり止んだりの小雨の中、パーカーを着たり脱いだりしながら大清水に到着12:30。

 12:30 大清水に到着
やれやれ、無事、到着しました。ザックを丁重に車にのせ[重くてとてもほうり込めない] 戸倉に向けて出発。片品の村営温泉センターで汗を流し[500円]広間で腰を揉み合う。 痛てて。車を走らせると下界は素晴らしい秋晴れ。沼田のとんかつ屋でカツ定食でスタミナ補給。 事故渋滞と行楽渋滞の関越を走って、無事、自宅へ到着19:00。

 ◆  ◆  ◆

[後記]
生まれて初めてのテントは雨模様。それは何と素敵なことだったろう。漆黒の闇というものに 触れることができた。闇に浮かぶ、それぞれのテントのぼーっとした灯りがとても柔らかかった。 燧ケ岳は次回の楽しみに。この訓練は、次回の山行計画の為にはどうしても経験しておく必要があった。 いよいよ、来月に実行に移すことになる。 北アルプス、島々からの徳本峠を経て奥穂高 を目指す。この9月、集中的に山行に拘ったのは、この為にあった。 やるぞーーー。
出発は10月8日、[急行アルプス]に乗ります。
文責: 木蓮


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